長期入院とおしゃれ


2019.06.02に退院して、もうすぐ2ヶ月が経とうとしています。
おかげさまで、わたしは、とっても元気です。みなさまいかがお過ごしでしょうか?長梅雨のおかげで調子を崩されている方も多いようです。こんな時期は思い切って、お天道様のご機嫌に合わせながら、無理をしすぎずに、自分のペースで進んでいきましょう☺︎ お互いにね!❤︎


近頃は、自分の身の回りのことで業務的に、物理的に、バタついていたので(健康面での問題はまったく無いのでご安心下さいませ)、Blog更新がすっかりでした。近況報告もろくにせずに、すみません。それは、また今度!にするとして、今回は、入院中のことで、忘れないうちに記録したかったことがあるので、それを記事にします。


今回の題目はずばり、

入院とおしゃれ


です。
そして、何が言いたいかというと、




顔はブスでも心はブスになるな。




です。これは自分自身に、入院中に言い聞かせていたことであり、そしてこれからも、自分に言い続けていきたいこと、です。


わたしは、約9ヶ月間、一度も退院出来ずに、病院で暮らしました。月に1回程度の「外出」はありましたが、とにかく病院での生活でした。
入院期間中の真ん中あたりで手術をして、手術後1ヶ月間くらいは、身体的にしんどくて、さすがに生きることに必死で、おしゃれどころじゃありませんでしたが、それ以外は、抗がん剤治療だったり、免疫回復待ち期間だったりなので、ぱっと見、脚 以外は「病人なの?」って感じだったようです。「お姉さんは骨折?」などと、おばあちゃん患者さんたちに、本当にしょっちゅう質問されるほどでした。


人間というものは、本当に、楽な方楽な方に向いていくもののようで、入院生活に慣れてきた頃にはすっかり「すっぴん・ノーブラ・パジャマ」という、だらしがない身なりが常となっていきました。重篤患者さんや、具合が悪い患者さんは、その身なりでも、だらしなくないです。しかしわたしは、入院して抗がん剤の点滴は身体につながっていますが、なんせ「具合が悪くない」のですから、身なりのだらしなさは、単なる気持ちの怠けでした。怠慢以外の何者でもないのでした。


この病気になって、入院して治療して、7キロ太りました。これも抗がん剤のせいでは無く、単なる食欲旺盛のせいです。裏を返せば、好きなように好きなものを食べていた怠慢です。


個人差はありますが、抗がん剤治療をすると、髪もまつげも抜け落ちます。わたしは、1回目の抗がん剤治療が終わった時点でほとんど抜けました。その頃から、自分の身なりのこと全般が、「あーなんか…もうどうでもいいや〜」となってしまいました。


が、しかし。
退院の目処が立った、退院2ヶ月前くらいからは、



ん?てゆーか、このままでは本当にやばいぞ自分、こんなんじゃ、社会復帰できないぞ。


と深刻に思い、




顔のブスは直せないけど、心のブスは直せる。


と自分に言い聞かせ、その頃からは出来ることをするようにしました。


まず、わたしは、こう見えて、かわいいものが好きなので、自分がかわいいと思うものイコール、ハッピーになれるもの、気持ちがアガるもので身の回りを埋め尽くしました。笑

以下は、わたしの病室です。
わたしの好みを理解してくれているお友だちからのキュートないただき物もたくさんありますが、看護師さんに怒られない程度に、好きなように、好きなものをしつらえていました。
そしてこのユニコーンは、けっこう大きくて、抱き枕としても使用したり。かわいいピンクなので「桃子」と名前を付けて、いまも可愛がっています。ちなみに桃子は、アマゾンからやってきました。笑  そしてこの青いブランケットは、持ち込みです。病院の布団が重くて暑くて嫌いだったので、こればっかり使っていました。


入院中にお世話になっていたのは、通販ショップ。とにかく外に出れないので、買い物には行けません。キャスキッドソンという英国ファッションインテリア通販ショップ、我らがAmazon、エスニック雑貨通販ショップのチチカカなど。よくお世話になりました。嫌なことがあったりすると、しょっちゅう「かわいい」もの探しをスマホでしていました。あとは、サンリオグッズを画像検索しまくったり、ディズニーのプリンセス映画を観まくったり。笑


そんな中ある日、気づきました。




あれ…?最近まともに鏡、見てないな…。




はい、女子失格です。
と言うわけで、早速ミニドレッサーをAmazonでポチっ。


↑こんなものを、病室の移動式テーブルにどんと置いたり。
鏡を見る習慣をつけました。


顔面まわりについては、
髪は、ウィッグを1つだけ買ったのですが、わたしはもともとベリーショートだったので、顔まわりに髪がフワフワあるのがこそばゆくて、むしろかゆくて 笑、結局ほぼかぶらず、医療用帽子をかぶっていました。自分の心地良い方を選んだので、頭の見た目はがん患者っぽいけど、気にしないことにしました。自分がしっかり納得する方を選択すれば、髪がないことさえも、気にならなくなりました。


まつげは、クリクリにするのが好きでしたが、そもそもまつげがないのでクリクリにも出来ません。そこで、つけまつげの出番です。つけまつげは日頃しないので、付け方はずいぶん練習したし、デザイン選びも研究しました。
お化粧しはじめた女子高生みたいな気持ちになって、若返った感じがして、なんだかそれはそれで楽しかったです。


眉毛は、毎日描きました。眉毛も少し抜けてしまい、わたしは眉毛が薄いとコワモテになってしまい、それは他人に失礼だと思い、「眉毛だけは、絶対に毎朝必ず描こう」と決めたので、実行しました。


スキンケアは、いつもよりちょっと高いオーガニックブランドのものを購入し、「肌だだけはせめて」と思い、ズボラな自分なりには、かなり気をつけました。


顔まわりがそれではまださみしいので、自分好みの大ぶりのイヤリングをつけていました。アクセサリー類はとくに手術前後では絶対NGでしたし、NGの理由も理解できますが、それ以外の時期は、わたしは顔まわりの処置は一切無いので、イヤリングつけていても看護師さんに特に怒られることはなく、一日中ふつうに付けて病院内をウロウロしていました。そんなわけで、いまではすっかり、イヤリング収集が、趣味のひとつに。


マニュキアは、入院中ずっとNGで、交渉してもNGで、断念。理由を聞いたら、毎日のバイタルチェック(検温、血圧、体内酸素量、心拍数を、毎日毎日毎日、朝晩測ってくれる)で指にハメて酸素測るあの機械が読み取らないから?とか、急な容態変化のさいに、爪の色を確認することがあるから?とか、あんまり詳しくちゃんとは聞いてないけど 笑、とにかく緊急時の処置に影響するらしいのでNG。まあ、理にかなった内容だったので、しぶしぶ「はーい、わかりましたぁ」とあきらめました。笑 (退院した今では、たかが外れたように、マニュキアを塗りまくって楽しんでいます❤︎)



服装ですが、入院環境というものは、周りの患者さんみんなパジャマだし、そんな雰囲気なので、本当に一日中パジャマで過ごせてしまうので、社会復帰のため、そして生活にメリハリをつけるために、毎朝かならず「着替える」ことにしました。病院の外の生活では当たり前のことで気にもしたことないけれど、「着替える」って気持ちの切り替えにもなって、とても大切な行為なんだと学びました。なので、洋服を、パジャマ用と日中用に分類して、寝る前にパジャマを着て、起きたら日中用に着替えていました。自分が好きなファッションをすることは、ハッピーになれる魔法のひとつなんだなぁと、改めて発見しました。


そんな、身なりの改善策は、物理的なので、変更しやすいけど、一度ブスになった心を改善するには、日々の心がけが重要でした。それでいて、「いつも何を考え何に心を向けているか」が大切なんだと本当によく学びました。つねに考えていることって実現しやすく、こうなったらいいなという想像力の豊かさが、現実の人格形成にもつながるんだと。


簡単に言うと、「どうせ病人だし」「どうせ病院の外に出られないし」「どうせ、どうせ…」と、あきらめモードにハマってしまうと、ネガティヴスパイラルから抜け出せずに、ハッピーにもなれないし、余計にツラくなる。ツラいのは手術だけで十分なので、これ以上はツラくなりたくなかったので、ハッピーになるために、心の水やりは、自分自身でするしかない。


故 茨木のり子大先生の詩に、「自分の感受性くらい  自分で守れ  ばかものよ」とありますが、


本当にその通り


でした。
心のブスは、自分で直せ。
心の水やりは、自分でしろ。


本当にその通りで、だって、痛がっている人から身体の痛みをいくら分けてもらいたくても、分けてもらうことはできません。
それは、心も、そうなんだと、よく学びました。


パサついた心に水をやる方法は、本当に人それぞれかと思いますが、入院中で出かけることが出来ない状況で、わたしは、とにかく「読書」をしまくり、「映画」を観まくり、「音楽」を聴きまくりました。


読書は、とある時代小説にどハマりし、10冊くらいの連載なんですが、熱狂的に読破しました。あとは好きな作家の文庫も10冊くらい読み、そして何よりも夢中になって読んだのは、大好きな美術家 グスタフ・クリムトの展覧会図録を熟読して、生きる素晴らしさと生命の循環や愛とは、について学び考え、ひとりでキラキラしていました。多分、看護師さんたちは、「なんで菊地さん嬉しそうにしてるんだろう…?」と怪しがったに違いないです。そしてわたしは、同時進行で4.5冊くらいのまったく無関係の本を読むというのが自分に読書法のようで、自分の読書の癖もはじめて発見して、面白かったです。


映画は、3ヶ月間で、60本くらい観ました。観そびれていたものを中心に、多いときは1日に3本くらい観たり。
わたしは自分の病気のことで、悲しくて泣いたことは最後まで結局一度もありませんでしたが、映画を観て感動して、消灯後の暗闇の中では、しょっちゅう号泣していました。あ、あと、イチローの引退会見は、泣きましたね。イチローの引退会見を見て、その赤い目で、リハビリに行く時間になってしまい、リハの先生に「何かあったの?!」と心配されたのをよく覚えています。笑


そして相変わらず、音楽にもずいぶん助けられました。YouTubeでオーケストラの名演奏会の動画をヘッドホンで大音量で聴いたり。はたまたテクノポップを聴いたり、スタンダードなロックや、名プレイヤーのジャズを爆音(大部屋では音の鳴るものはイヤホンをつけなければならない規則なので、ヘッドホンで)聴いたり。わたしは音楽は雑食なので、なんでも聴きますが、本当に、こういう状況では、音楽そのものの存在が、非常にありがたいものでした。


こんな時にも、どんな時にも、芸術はわたしたちに寄り添っていてくれて、そして助けてくれる。
人それぞれですが、わたしには、芸術の存在が非常に心強く、こちらが開いてさえいれば、いつでも大切なことを教えてくれる、そんな存在であることを、改めて発見し、助けてくれたことにとても感謝しています。


気持ちを高めたり、ハッピーになる方法は、人それぞれだけど、わたし自身は、わたしの再発見をたくさんしました。
なので、これからも、この経験を忘れずに、どんな時でも、気持ちひとつで、人はハッピーになれる。
ハッピーになりたいなら、その方法は必ずある。
ということを、今後の人生につなげていきたいと、改めて、そう思いました。


なんだかクサくなりましたが、入院を振り返った今しか書けないことなので、書かせて頂きました。


みなさんも、どんな時も、ハッピーは自分次第で見つけられる、そんなことを、どうか心の片隅に置いて、サバイバルな毎日を、少しでも楽しく、過ごせますように。
無理はする必要は無いけれど、そんなことを、忙しい毎日の中で、たまには、思い出せますように。
みんなが、それぞれの、自分らしいハッピーと寄り添っていますように。
心から。願っています。

Rei.Kikuchi_ Re:Life

キクチレイの"リ・ライフ" ◻︎◻︎→ ▷ 一時停止ボタンを再生ボタンへ。 ふたつの四角を三角にしていく記録。 2018年秋より、骨肉腫サバイバー。

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